pp58_pp68ラストダイニングチェア。ppモブラー:ハンスJ・ウェグナー

PP58・PP68の魅力:その③デザイン

当然ながら自分が座ってしまうとデザインはほとんど見る事はできない。ダイニングチェアは使ってない時はテーブルに隠れてしまうので、しいて言えば勝負所は後ろ姿、背中とアームが一体になることにこだわったこの椅子は後ろ姿がとてもキレイ、どことなく神社の鳥居に似ている。本来椅子は体を支える道具、何かに似せたわけで無く、機能をとことん追求した結果がこのデザイン。「デザインは内側からできている」チャールズ・イームズのお孫さんデミトリオスが言った言葉、おそらく祖父の言葉を代弁したのだろう。ジャンプルーベも構造を隠さずむき出しにしたデザインが特徴的。飾らず道具としての素直さがストレートに出ているこの椅子は主張せず、出しゃばらない影の主役、縁の下の力持ちは謙虚で周囲からも絶大な信頼を得るものです。陰影礼賛、陰影の中でこそ映える存在は日本古来の美意識にも通じます。

じつはハンスJ・ウェグナーが最後の最後まで迷った「終わり方」について少し触れます。終わり方って何?。そうハンスJ・ウェグナーはアームの先の終わり方をとことん悩んだらしい。ウェグナーいわく、Yチェアは「ほうきの先」カウホーンチェアは「親指の先」。彼に言わせれば「ほうきも指も」すでに世の中に存在するデザイン。彼の最後のデザインとなったこの椅子の終わり方はどうしても世の中に存在しないオリジナリティーを出したかった、その思いがこの寸足らずのように見えるアーム。実は寸足らずどころかベストサイズだったのです。側面もほどよく丸みがあり軽く盛り上がっています。生前のウェグナーに会ったことがある日本総代理店の羽柴社長曰く、じつはこの終わり方、1945年の彼の初期のデザイン「チャイニーズチェア」の終わり方にそっくりだったのです。原点回帰かどうかは定かではありませんが。

pp58_pp68ラストダイニングチェア。アームの先の終わり方

PP58・PP68ハンスJ・ウェグナーの隠れた傑作

PP58・PP68の魅力:その①素材

PP58・PP68の魅力:その②座り心地

PP58・PP68の魅力:その③デザイン

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